筋ジストロフィーの息子と共に生きる父のブログ 第18話
小学校に入学して保育所の友達とはバラバラのクラスだったけど 少しずつ友達も増えてきた。
学校生活は入学前に相談した通り 授業は普通学級で受ける。
身体の事情なのか 性格的なものなのか ワンテンポ遅れる事がよくあった。
授業参観でも よくその光景を目にした。
若い担任の先生は みんなに話しかけながら さりげなく時間を稼いでくれ、ふー君のフォローをしてくれていた。
近所の友達もでき たまには放課後にあそぶ事も出てきた。
小学校1年にもなると みんな自転車を使うようになる。
行動範囲は狭いけどこれから必要になるだろう。
自転車かぁ…
乗れるようにしてしてあげたいなぁ…
と 考えてた頃だった。
保育所の頃から 園でも家でも三輪車には乗っていた。
足の力も弱いので キコキコとゆっくり進む。
少し段差があると降りて引っ張ってクリアしていた。
速い子は 三輪車でもめちゃくちゃ速いよね(笑)
年長さんの頃ママちゃんのお父さんが自転車を買ってくれると言ってくれた。
ふー君もそろそろ乗るだろうとの事だった。
もちろん補助輪付きの自転車を自転車屋さんに見に行った。
色んな自転車があるなぁと店内をぶらぶらしてみて見てた。
「これがいい!」
とじいちゃんにおねだりするふー君。
じいちゃんも嬉しそうに微笑んでいた。
選んだ自転車は 機関車トーマスの自転車。
結構いい値段がする自転車だ。
Daddyも呼ばれ話を聞いていた。
キャラクターの自転車かぁと思い、自分が見つけた自転車を提案してみる。
「これはどう?」
「トーマスがいい」
「じゃあこれは?」
「トーマスがいい」
だめだこりゃ(笑)
即却下された。別にキャラクターの自転車でも全然いいんだけど 持った感じが ものすごく重い。
Daddyは 乗りやすく扱いやすい自転車を選んでた。
他にも色々勧めてみたけど トーマスがいいらしい。
子供はこれと決めたら聞かないもんね。
じいちゃん達も 好きなのがいいだろうって事でトーマスの自転車になった。
保育所の間は たまに乗る程度だったし 補助輪もついたまんま。
まぁ嬉しそうにしてるし、じいちゃんやばぁちゃんも嬉しそうだった。
補助輪ついてた頃 ↓
そして 1年生になり
「そろそろ 自転車の補助輪無しでやってみる?」
と聞くと
「うん、やってみる!」
という訳で 休みの日に特訓開始
「はよ、やろーや、とーちゃん」
補助輪を外し完成(笑)
まずは 好きなようにやらせてみる。
まっすぐ前を向いて少し先をみる。
スピードがないとフラフラするので まずは全力で漕ぐ。
それだけアドバイスした。
補助輪が無くなって やはり難しいのか 何回も何回も転ぶ。
倒れた自転車の起こし方も 教えた。
何度も何度も転ぶので さすがに嫌になったのか
「もう今日はやらない・・・」
と家に入っていく(笑)まぁ仕方ない。
見てて思ってたけど、どう考えてもふー君には自転車が重い。
乗れるようになっても自分で起こすのは難しい感じだった。
自転車をぼんやり眺めながら考えた。
よし 、 いらん物 取っちゃえ(笑)
そして トーマスの顔がついたカゴとか 泥除け 飾りのパイプ等 外せる物は全部外した(笑)
よし、だいぶ軽くなった(笑)
また次の休みに練習する。全然トーマスじゃなくなった自転車に不満そうだったけど(笑)
自転車の扱いになれてきたのか 軽量化が効果あったのか 倒れても なんとか 起こせるようにもなっていた。
バランスも取れるようになり後ろを支えて一緒に走ると補助輪無しでも 乗れるようになった。
漕ぐ力が弱いので なかなかスピードが出ないけどスピードに乗ると手を離してもある程度乗れている。
ここまで何ヶ月か経っていたし、転んだ数も計り知れない。
でもめちゃくちゃ頑張って 結局乗れないはしたくなかったし ふー君も頑張っている。
問題はスタートだけ。平坦な道ではどうしても出来なかった。
だから 少しだけの下り坂を利用する作戦。自転車を押して下り坂を探す。
上から勢いをつけてみるとスタートの問題をクリアできた。
生傷は凄かったし、Daddyも可哀想になる時もあった。
時間はかかったけど 1人で全部できるようになった。ママちゃんに
「かぁちゃん!みて〜!」
と自慢げに見せていた。Daddyもその光景が嬉しかった。
よく頑張ったね ふー君
その日もお祝いパーティをした(笑)
すぐお祝いパーティする我が家(笑)
健常の子供達と同じように特訓したと思う。
まぁ他の子達はこんなに時間もかからなかったんだろうけど 数ヶ月かかって乗れるようになった。
練習した日は ふくらはぎがパンパンになっているので いつもより念入りにマッサージする。
「頑張ってみて 出来たら嬉しい?」
「うん、めっちゃ嬉しい」
「そうやな 凄かったわ めっちゃ頑張ってたもんな」
「忘れんといてな?」
「覚えてるよ!」
色々な意味を込めた会話をマッサージしながらした。
また休みの日に練習も兼ねて 2人でサイクリング。
一緒にゆっくりだけど 並んで走るのが幸せだった。
このまま 時間が止まればいいのになぁ…
なんて夢みたいな事も考えてた。
急な坂道だと 押せなかったりもある。その時はまた違う坂を探す。
いつの間にか坂を探すのが楽しかったりした(笑)
止まっちゃうと 坂道まで歩いて押して行ったり 色々時間はかかるけど コツは掴んだようだ。
まぁ坂といっても 登ってるかどうかも分かんないような坂なんだけどね。
坂道スタートをして スピードが付きすぎて 壁に激突したりもあった。
考えてなかったけど ブレーキかけるのは 握力がいるんだよね(笑)
力の弱いふー君は 急ブレーキはできず、優しいブレーキになる。
心配は尽きなかったけど 初めてDaddyと自転車で並走したときは 満面の笑みだった。
挑戦して良かった。ママちゃんも転んだら膝が痛いだろうって事で スボンの膝を布で厚くしたり 色々工夫してくれてた。
出来ない事かも知れなかったけど まずはやってみた。
なんでも経験してみる
大事な事だと思う。まぁでも乗れたから OKなんかな(笑)
頑張った先にあるもの…
最高の笑顔と風を切り走る背中が眩しかった。
乗れないかもとか、無理して乗せる必要あるんかな?
とか色々悩んだ自転車挑戦編でした。