第42話 車椅子サッカーをしよう 筋ジストロフィーの息子と共に生きる父のブログ

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筋ジストロフィーの息子と共に生きる父のブログ 第42話

打ち込めるもの

1年生も半ばを過ぎて中学校生活にもある程度慣れた。

小学校と違い、中学生は忙しい。

習い事やクラブ活動、遊んでいた友達も忙しくなり家にいる事が多くなった。

家にいる事が悪いわけではないけど、何か楽しめる事がないかなと色々考えてた。

テニス部に入りたいと言っていたふー君。

さすがに手も使いづらくなっていたので、テニスか……

どうやってやろうか……

何か無いかなぁと色々考える。

「やっぱりテニスしたい?」

「いや、もういいよ」

「すねてんの?」

「いや、そこまでやりたい訳じゃなかったし」

なんやねん(笑)

まぁでも 何かさせてやりたいし、できるスポーツはないかなと、また考える。

そんな時にテレビで車椅子サッカーの特集をやってた。

おおお、なんかよくわからんけど、楽しそう。

車椅子の運転は自信があるようだったので、向いてるんじゃないかと思った。

車椅子でもできるスポーツがあるなら、させてやりたかった。

体育会系のノリも 結構大事だし。

「車椅子サッカーって、どう?」

さっそく聞いてみる。

「んー、まぁ面白そうかな〜」

「もしやれるなら、やりたい?」

「まぁ、そうやなぁ〜」

なんか微妙な反応だけど、一応はやりたいそうだ。(笑)

車椅子サッカーとの出会い

さっそく車椅子サッカー協会のホームページを検索。

参加資格など、細かい事は聞けばいいし とりあえず参加できる範囲のチームがあるかないか 探してみる。

あまりチームの数は多くない。

まぁそりゃそうか。

でも車で15分程度の所に活動してるっぽいチームがあった。

チームのホームページがあれば、直接連絡すれば良かったんだけど、連絡手段がない。

さらにそのチームのホームページを検索。

便利な時代だ。

探す探す……

ないやんけ。(笑)

仕方ないので、全国車椅子サッカー協会にメールで問い合わせてみよう。

まずは近くのチームの練習を見学してみたい旨を伝えた。

数日後、返信が来た。

近くのチームは人員が減ってしまい、チームは活動していないとの事。

全国の会長さんが、Daddyの住む地域を管理する支部長さんの連絡先を教えてくれた。

メールで同じように、近くのチームの事を支部長さんに尋ねる。

返答は同じだった。

ただ支部長さんが所属するチームともう一つチームがあるらしい。

どっちのチームにも紹介はできるそうで、どうしますか?

と聞かれる。

せっかく支部長さんが対応してくれているのだから、支部長さんのチームを選択した。

車で下道だと1時間ぐらい、高速で40分ぐらい。

思ってたのとちゃう。(笑)

まぁ仕方ない、とりあえず見学に行きたいと伝えた。

週末の練習日に見学に来てはどうでしょう?

という事で、初めて 練習を見に行く事にした。

当時 乗っていた自家用車はHONDAのモビリオ。

一応 7人乗りだけど、3列目は収納して車椅子席になる。

まだふー君を抱えて助手席に乗せたりする事もあったけど、今度は2列目が狭い。(笑)

バイクを積み込む時に使うアルミラダーがあったので、

それを使って 車椅子に乗ったまま 乗り込めるようにした。

先々で車椅子レンタルする事もありなんだろうけど、そこはこだわった。

電動車椅子のレンタルはなかなか無いし、好きな所に少しでも行かせてやりたいから。

車椅子も大事な家族。

ふー君の足代わり。

ふー君を支える大事な仲間なのだ。

前にDaddyとママちゃん。

2列目にすけまるとラブ子。

3列目に車椅子乗車のふー君。

このポジションで旅行に行ったりもした。

簡易電動の車椅子なら なんとかいける。

練習を見に行こう

そんなこんなで、結構ぎゅうぎゅうに近いポジションで 紹介してもらった体育館に向かう。

すけまるやラブ子も連れてく。

練習時間の合間に見学の時間を決めていた。

体育館について、少し緊張しながら中に入る。

ちょうど練習の最中で、家族で練習風景を見学。

当日のメンバーは6人ぐらい。

みんな 色々な障がいを抱えながらサッカーを楽しんでいる。

初めて見る世界。

ここにも 障がいに負けず頑張っている人達がいた。

自分は今まで 狭い世界で過ごして来たんだなと改めて思った。

ふー君と出会わなければ、知らなかったかもしれない。

本当にみんな楽しそうだ。

キラキラしてるように見えた。

そして周りには 親御さんやヘルパーさん達が見守っている。

感動した。

凄い……

競技用の車椅子で、ガチャガチャとぶつかる。

かなり激しい。

車椅子を回転させてシュートを打つ。

びっくりする程の威力だ。

想像してたより激しい練習にちょっと驚いた。(笑)

しばらくして、支部長さんが練習を止めてくれた。

「こんにちは~」

と挨拶をした。

思ったよりも若い方だった。

お兄さんって感じ。

そして僕たちを紹介してくれた。

すけまるもラブ子もボールで遊ばせてもらったり、みんな とても優しい。

まずはやってみよう

少しずつ打ち解けながら

休み時間に個人練習をする人をぼんやり家族で見ていた。

それを見たマネージャーさんが

「ちょっとやってみる?」

少し恥ずかしそうな ふー君。

「やらしてもらい」

少し背中を押してあげる。

「やってみる」

車椅子サッカー用のボールを使って、ドリブルさせてもらう。

簡易電動車椅子で ボールをコントロールしながら、並べて貰ったパイロンをスラロームする。

結構 器用にクリアしていく。

「上手い!上手いやん!」

みんな褒めてくれる。

親御さんやヘルパーさんもみんな褒めてくれた。

そうなると 絶好調のふー君。

簡易電動で回転してパスしてみたり、シュートしてみたり。

支部長さんが 自分の車椅子に乗り相手をしてくれる。

お兄ちゃんと弟が ただボールを蹴りあっているようだ。

車椅子ではないみたいだった。

凄く嬉しい光景だった。

何度も何度も パスを出す。

支部長さんもパスを返してくれる。

その光景をみんなで見ていた。

そして、見ていたすけまるやラブ子が参加。

3人でサッカーをしている。

夢みたい…

さりげなく3人だけにしてくれる支部長さん。

すけまるやラブ子が受けやすいように優しく蹴るふー君。

こんな光景が見れるなんて…

来てよかった。

ちょっとウルウルしたな。

やばかった。(笑)

そして、マネージャーさんのような方が色々教えてくれた。

練習の日程や試合もあること。

やる気があるなら、車椅子は借りることもできる。

そのマネージャーさんもプレイヤーの1人。

自分の車椅子をふー君に

「そんだけ できるんやったら、これ乗ってみる?」

「えええ、大丈夫ですか!壊したら大変だし」

「大丈夫大丈夫!うちのチーム弱いから できる人が乗ったらいい」

お言葉に甘えて車椅子を借りる。

競技用の車椅子だけあって、スピードも回転スピードも半端ない。(笑)

普段の練習は6kmのスピード。

大会によっては10kmでやることもあるらしい。

鉄の塊の車椅子が360°回転してシュートを打つ。

ドォォォォォンッ!!

と言う大きな音。

会心のシュートだ。

できた……(笑)

気持ちよさそうな ふー君。

みんな拍手喝采だった。

ずーーーっと シュートしてた。

しつこいぐらいに(笑)

楽しそうな笑顔が嬉しかった。

本格的にやるなら、車椅子も検討せねば。

簡易電動の車椅子を中学入学の時に新調したばかり。

2台目の補助は難しいだろう。

競技用の車椅子なら モビリオもキツい。

家での置き場所も考えなければ。

通うとなると、時間もお金もかかる。

色々 お金かかるなぁ〜。

でも 嬉しそうだったしな〜。

すぐに決める事もないし、勧誘された訳でもない。

いつでも練習見に来てくれていいし、やりたくなったら 一緒にやろうね。

って感じ。

ゆっくりママちゃんと話してから決める事にした。

続く……

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