第25話 人の視線 筋ジストロフィーの息子と共に生きる父のブログ

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筋ジストロフィーの息子と共に生きる父のブログ 第25話

次の目標

真冬のマラソン大会が終わり3月を迎える。

ふー君の歩く距離は どんどん短くなっていた。

12段登っていた階段は半分ぐらいになった。

クラスで けん玉をする授業もあった。Daddyもママちゃんも手本を見せたりして一緒に考えた。

「おれ、膝が上手く使われへんから 難しいんねんなぁ」

確かに全然関係ないと思ってたけん玉でも 膝をクッションのように使い、フワッと皿に乗せる。

棒立ちでやるのは めっちゃ難しい 汗

何度も挑戦したけど、難しかったのでリハビリの先生に相談。

ペットボトルを切り抜いて 皿に貼り付けて 乗せやすくしてくれた。笑 本人は大喜びで

「これでいくわ!」

とランドセルに詰めてた。

コマ回しも コマを飛ばす動作や 紐を引く動作が やはり弱く 回すのに苦労した。

色んなとこで 関係するんだよねぇ。

右足の足首が固くなっていた。お風呂で暖めマッサージをしたり 学校でも体育の後は先生がマッサージしてくれたり。

ふくらはぎも固かった。

リハビリの先生を受診する。

「右足の足首の収縮がほぼできていないですね」

「今まで通り使わな過ぎす使い過ぎずは 変わらないけど、歩く事に重点を置くのは やめましょう」

「つま先で立ってるし、かかとが床に着かなくなっています」

「これからの目標は、座位をできるだけ長い期間、保持できるようにしていきましょう」

七転び八起き

尖足の症状が出てきた。それでも使い過ぎず、使わな過ぎす。

酷くならないように装具も寸法合わせをしたり。

毎晩のマッサージは続ける。

特効薬ができたときにできるだけ いい状態でいたいからだ。

でも少しずつ進行しているのを実感する。

先の事を考えると苦しくなる時がある。

それもひとつずつ ちゃんと受け止め、ちゃんと凹む。笑

そして また 前を向く。これの繰り返し。

何回転んでも立つのだ!

学校生活

学校まではDaddyが自転車に乗せて連れていく。

学校では基本自分で歩く。

移動教室や体育など時間が、かかる時は時間との相談で 間に合わなさそうな時は 学校の車椅子に乗せてもらったり、おんぶしてもらったり。

体育の授業はマラソンが終わり、サッカー等をやっていた。

なるべく参加できるようにと キーパーをやらせてもらったりしてた。

「今日、〇〇君のシュート止めてん!たまたま足に当たってんけど、ビリビリしたわ!」

「おおお!やるやん!勝ったん?」

「知らん!」

なんで知らんねん…笑

まぁ参加させてもらって楽しんでるならいいかと 思ってた学校での様子。

マイ車椅子完成

ラブ子が 産まれたり色々してる間に 前々から頼んでいた ふー君の車椅子が完成。

赤いラメの入ったかっこいい簡易電動車椅子だ。

下校時間になると ママちゃんが よちよち歩きのすけまる、抱っこ紐で ラブ子を連れて 車椅子を押して迎えに行く。

放課後、学校が終わってから マイ車椅子を使うことにした。

電動車椅子、切り替えで手漕ぎもできる。

歩ける時は歩き、疲れたら車椅子、手の力も大事なので 手漕ぎでできるだけ。

ふー君は早く友達に見せたかったみたいだけど。

身体のリハビリもそうだけど、電動車椅子の乗り方、マナーも練習しないとだ。

週末、家族で出かける時に 電動車椅子を練習する。

簡易電動の最高速は時速6キロ、大人の早歩きで、なんとか付いていけるスピード。

公園や広い所では 6キロで練習。

自分で歩くより だんぜん早いので 嬉しそうに ウロウロウロウロ

ずーっとウロウロ笑

気のせいかも知れないけど、まだその頃は 今ほど車椅子の人を見かけなかった気がする。

公園で練習していると 小さい子や親御さんが チラチラと見ている。

すけまるを膝に乗せたり、芝生や砂場に突っ込んで行き、動けなくなったり笑

外の広いところでは、6キロ。

お店や家、学校ではスピードを落とす約束にした。

スーパーに寄ったりもしたけど、6キロで何度も走り回り、Daddyのげんこつを何度も食らったり 笑

IKEAにも行った。その時もげんこつ したな 笑

好きな所に サッと移動できるようになるのは 嬉しかっただろう。

でもお店の中には、小さい子やお年寄り 色々な人がいる。

すけまるやラブ子と 同じように お店等では しっかりマナーを守らないとね。

それがちゃんとできないと、学校にもどこにも 乗って行かせないと話した。

週末の度に公園やスーパーなどで マナーの練習をした。

電動の運転技術は 最初からめちゃくちゃ上手かったので マナー練習のみ。

見られるふー君

ある日 スーパーからの帰り道。

「なんかいつもスーパーで、俺の事 みんなめっちゃ見てくるねん、すごい嫌や…」

確かにDaddyもママちゃんも それは気になっていた。気にしすぎかも知れないけど。

「そうやな、確かに見てはる人おったな」

「どんどん見てもらったらええやん」

「でもウロチョロして怒られてるのは格好悪いで?」

「姿勢もちゃんとして、怒られてない姿を見てもらわなあかんな」

と、声を掛けながら

あ〜人の視線も気になるお年頃になったんだなぁと 嬉しかったり 笑

「車椅子 恥ずかしいの?」

「そんな事ないけど、めっちゃ見られるから…」

「そっか、胸張ったらええと思うよ」

「世の中には色んな人がおるやろ?」

「目が不自由で杖をついてる人とか、耳の不自由な人は耳に機械つけたり、手話で話したり」

「足が不自由な人は車椅子を使う」

「その車椅子は ふー君の足やん」

「その足で色々なとこ、行けるようになる、ふー君の大事な相棒やで」

「格好よく乗ったらな あかん」

「歩ける事は当たり前やない。色んな人がおってええねん」

「堂々と車椅子乗ってる子どもがおってええねん」

「だから胸張っていいと思うよ」

珍しく真面目に聞いてたな 笑

まだまだ怒られる事もあるけど、少しずつマナーも守れるようになってきた。

ある週末 車椅子で外出してると 友達にばったり。

「おお!車椅子かっこいいやん!」

と友達に言われ ご機嫌なふー君だった。

親の言葉よりも、友達の何気ないひと言に助けられる事もある。

それからは 人に見られても特に気にする事も無くなったふー君だった。

本格的な車椅子生活の始まりの年。

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