第41話 筋ジストロフィーの息子と共に生きる父のブログ 子どもは車椅子野郎

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筋ジストロフィーの息子と共に生きる父のブログ 第41回

中学1年生の学校生活

全校生徒に自己紹介と自分の身体の事の話を済ませて、とりあえず一安心。

いよいよ学校生活が始まる。

中学校も今まで通りで、できる事は
自分でやる。

できない事は自分で頼む。
ありがとうを言う。

このスタンス。

エレベーターは無い中学校。
小学校で使っていた階段昇降機を
そのまま 使わせてもらえるように
教育委員会に交渉済み。

卒業と同時に中学校へ運搬していただいた。

中学校の先生も昇降機にすぐ慣れて
移動には時間がかかるものの2階や
3階、4階にもいける。

教室もとりあえず2階で身障者トイレの隣の教室にしてもらった。

クラスも今まで通り支援学級に籍を
置き、皆と同じ授業を受ける。

体育は基本ストレッチになるけど、
参加出来るものは参加させてもらった。

ストレッチはリハビリで通所している先生の所に支援学級の担任の先生が
勉強しに来て頂いた。

マットの上で、関節を伸ばしたり 自分で曲げたり伸ばしたりやる感じ。

みんなとは別メニューだけど、前向きに取り組む。

この環境を整えてくれた事、本当に
感謝感謝である。

運動らしい運動はできなくなっていたから、体操服を購入する時に

「ふー君、体操服ってやっぱいる?」

一応聞いてみる。笑

「そりゃいるやろ!」

だよね笑。

ストレッチが、大半なら別に着替えさせなくてもいいんじゃね?

と言う勝手な思いだった。

別にケチろうと思って聞いた訳では
無い。笑

当時の体育のカリキュラムで柔道の
授業がある。

柔道着もやはり購入した。笑

結構いいお値段よ。ふー君。笑

試着して 車椅子に乗るふー君を見て

「コスプレイヤーか!笑」

と家族で笑った。とても嬉しそうに
ニヤけるふー君。

まぁブラックジョークかも知れない
けど笑ってた。笑

支援学級の担任の先生は 基本休み時間に様子を見に来てくれる。

できない準備やトイレを手伝ってくれるのみでお願いしていた。

その他は友達に頼めるなら頼んで、
先生は見守る。

時には準備やトイレも友達に頼む。

クラスの席は車椅子で出入りしやすく、先生がさりげなく手伝えるように
1番前の入口側。

「俺は席替えしてもずっとここ、おもろない」

と文句言うこともしばしばあった。

1番後ろの線もあるけど、目が悪くなってきていたふー君。

ゲームのしすぎ。笑

後ろだと、さりげない先生のフォローもやりにくいし、やはり1番前で
ある。

中学生の授業

中学校に入って勉強の質が変わり、色々問題が出てきた。

性格の問題なのか、わからないけど
黒板をノートに写す板書が微妙になってきた。

担任の先生がふー君の授業中の様子を見ながら、連絡ノートで相談する。

少し動き出すのが遅いとの事。

書くスピードはまだ大丈夫じゃないかと言われた。

作業療法士さんに相談して 筆記用具を工夫してみたり、黒板の写真を撮ってあとでノートに書き写すとか、色々案は出た。

本人にもしっかり話をして、筆記用具の工夫で なんとか乗り切ることにした。

結構真面目な学校なので、授業も
ポンポン進んでいく。

ボーっとしてると黒板の文字はすぐに消されてしまう。

写真を撮って書き写すのは、また同じ事をする事になるので6時間分となると大変だ。

ボーッとしている部分をキツめに指導してもらいながら、そちらに注力する事にした。

それでも板書やプリントの整理など、家に帰ってファイリングする事が多々あった。

それでも まぁなんとか工夫しながら、毎日が過ぎていく。

学校は楽しいようで休まず楽しそうに通っていた。

クラブ活動

中学に入ったころから、なんとなく
だけど高校の事を考える。

選択肢はもちろん多い方がいいので、内申点の事も考える。

まぁDaddyは気にしたこともなかったが…笑

クラブ活動も内申点を稼ぐ重要な要素のひとつ。

中学はテニス部に入りたいと、言い出したので、少し話を。

ちなみに小学校の時は科学部とパソコン部。

普段の授業でも かなりの配慮をしてもらっていたので、クラブ活動までとなると さすがになぁ…と思った。

先生達はいいじゃないですか〜と言ってくれてたけど、将来的に病気が進行した時、パソコンが大事になると思ったので、そのままふー君に話した。

やりたいことをさせてやりたいと言う葛藤と先のことを考える自分と迷った。

これ以上、学校に迷惑をかけては…
という気持ちが大きかったかも知れない。

無茶でもさせてやれば良かったかなと、今になって思う。笑

でも案外あっさりと ふー君はじゃあPCクラブ入るわ〜と軌道修正。

のちに部長になる。笑

中学校のプール

ブールはリハビリにもなるので、
小学校のやり方で引き続き入れるように配慮してくださった。

顔を付けて何秒か潜る。

肺を膨らませ呼吸のリハビリにもなるとの事で頑張る。

伏し浮きをしながら足をバタバタさせ25メートルを目指す。

もちろん先生の補助があるんだけど、頑張っていた。

顔を付けるのが昔は怖がっていたけど全然平気になっていた。

補助ありで、25メートルを何本か
達成できるときもあった。

お姉さん夫婦の旦那さんが仕事終わりに市民プールに連れて行ってくれたりした。

毎週迎えにきてくれて本当に有難かった。

プール前には例年通り 心臓の検査も
入れてもらい確認を取ってからね。

大丈夫と言われるのはわかっていたけど、念のため。

学校のプールはプールギリギリまで
スロープになっていて とても助かった。

支援学級の担任の先生が忙しいときは、校長先生が入ってくれたりもあった。

中学校のクラスとトイレ問題

複数の小学校が一緒になる中学校、
みんな慣れてきて友達もある程度まとまってきた。

休み時間は友達がワイワイしている。

トイレの回数が多いふー君は、休み時間にトイレに行ったり、遅れた板書を書いていたり、休み時間は楽しめていないみたい。

教室の1番前の席のふー君は 皆が集まっている所に行きたいけど 机の間隔が狭くて行けない。

行けても みんなが机の横に掛けてある物に引っかかったりする。

その頃はよく

「みんなのとこ、行きたいけど行かれへんねんなー」

「トイレに行って授業に間に合わん事あんねん」

とこぼしていた。

小学校と違って中学校はある程度時間やルールに厳しくなる。

休み時間にトイレに行って間に合わない時は遅刻扱いにする先生もいた。

先生の中には そこは配慮してあげた方がいいんじゃないかと言ってくれる先生もいた。

僕達にも学校側から相談があった。

「ほかの生徒と一緒に扱ってくれて
構いません。遅刻でいいです。」

ときっぱり返事をした。

ふー君にも、しっかり伝えたけど遅刻の時は結構あった。笑

まぁ仕方ない。笑

中学校 最初の定期テストも 最後まで
書ききれないという結果だった。

のんびりした 性格のものなのか、やはり色々 不便になっているのか 見極めが難しい。

1年生の成績から内申点に関係するので、あまり酷いようなら 何か対策をと思っていた。

なんとなくの情報で通える公立高校にエレベーターが設置されているのは
2校。

ある程度頑張らないと入れない高校と、少しランクは下がるけど、それなりの高校。

この頃から ランク高めの高校に行くと 会う人会う人に言っていた。

大丈夫か……こいつ と思いながらよく聞いてた。笑

何度かの定期テストを終えて、やはり最後まで書ききれない状態だった。

まだ中学1年生、受験の事もなんも考えてなかったんだろう。笑

車椅子野郎

1年生も半ばの頃、席替えで先生の配慮なのか なんと2列目の席を手に入れた。

車椅子になってから1番前の席が指定席だったふー君は大喜び。

家に帰って

「キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!2列目!!!!!!!」

とテンション爆上がりのふー君。

そんな喜ぶ事なのかと少し引き気味で見ていた。笑

前の席は女の子で小学校からの友達でもある。

後ろの席も女の子だ。

後ろの子もある程度ふー君の事も知っているし少し口が悪い女の子だけど安心だと思った。

まぁ年頃の女の子なんてそんなもんか。笑

ふー君は元々結構おしゃべりタイプなので2列目になって よく喋るようになった。

問題の板書が遅れることも多くなった。

トイレで遅れてきたときは、前の子に立ってもらって座席につく。

なんとなくは聞いてたけど、あまり
目に余るなら また最前列行きになる。

そこは迷惑をかけているので注意は
した。

まぁおしゃべりで怒られるなんて中学生あるあるなので軽く注意で放置してた。

そんなある日

ふー君がニヤニヤしながら帰って
きた。

「どないしたん?」

とママちゃんが聞く。

すると学校での出来事を話し出した。

いつも通り学校に行き、回りにべらべらと
話しかけるふー君。

先生にも注意される事も多々あった。

回りもイライラが溜まっていたんだろう。

すると後ろの女の子が後ろから車椅子をガンガン蹴りつけ

「うるっさいねん!!この
車椅子野郎!!だまれよ!」

固まるふー君。笑

よっぽどうるさかったのか、イライラしてたのか 後ろの女の子が爆発。笑

帰ってきて笑いながら話すふー君。

「なにが面白いん…ちゃんと謝りや」

「だってな、車椅子の人に
車椅子野郎!やで?」

「そんなん言う人おる?めっちゃおもろいやん」

「いやいや…たしかにそやけど」笑

「あんたが迷惑かけてんやったら、
ちゃんと謝らなあかんで!」

とママちゃんにも怒られてた。

仕事から帰ってその話を聞いた。

「そうなんや、めっちゃおもろいな その子」

「まぁでもいろんな人がおるから
面白いねんな」

「その子も今だけやわ、そんなん言うの」

「車椅子野郎でも ちゃんと同じように接してくれてるって事やな」

「そやな」笑

ひどい事を言われても笑ってるママちゃんとふー君を見て、色々あったけど逞しくなったもんだと嬉しかった話。

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