第40話 おかんの手紙 筋ジストロフィーの息子と共に生きる父のブログ

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筋ジストロフィーの息子と共に生きる父のブログ 第40回

中学に入学して早々に手紙を書いた。

全校生徒にふー君 自分自身の身体の事を紹介する手紙。

そして、その保護者の手紙。

息子が手紙を書くことも保護者が書くことも抵抗はあった。

学校からの要望で頑張って書いたってのが大きい。

偉そうになってしまうかも知れないけど、車椅子ユーザーの事や、障がいの事をみんなに少しでも 理解して欲しかった気持ちもある。

そして 偏見や差別の少しでも少ない社会になって欲しいとの願い。

ふー君や支援学級に在籍する生徒さんの手紙で何かを感じて貰えるかもしれない。

ふー君がいた事で この学校や地域のバリアフリーや意識が少しでも変わって欲しい。

そういう先輩がいる事で 少しずつ少しずつ道が出来て行くといつも思う。

偉そうな事を言いながらも 結構悩んで書いたんたけど 笑

ふー君が書いた手紙は前回載せた感じ。

それを聞いた生徒さんやお便りで読んだ保護者の方からの反応が気になる。

そしてまた 次の授業の時に保護者の手紙が読まれた。

ママちゃんが考えて考えて書いた手紙。

考えすぎて ちょっぴり痩せたそうな。

どう伝えればいいのか、変に受け取られたらどうしよう。

毎日毎日考えて書いた手紙。

あ、一応ぼくも考えてますよ。

ほぼ、却下でしたが 笑

母の手紙(一部抜粋)

みなさん こんにちは

1年〇組のふー君(君づけはもちろんしてません笑)の母です。

ふー君は自分の身体の事を最近知りました。

今、少しずつ自分の身体の事を受け入れて向き合っていると思います。

自分の身体の手紙を皆さんの前で読むと決めたふー君のこと、尊敬します。

覚悟がいったと思います。

ふー君の手紙の通り、歩くことが少しずつしんどくなって今では片手で操作できる車椅子を使って生活しています。

立つことはできません。

皆さんは色々な事を出来るようになって成長してきましたよね。

その色々な事が出来る友達の姿を見て元気な身体に産んであげたかったなぁ と思う時もありました。

ふー君はどんな気持ちかなぁ。大丈夫かなぁって。

けれど泣き言も言わず、自分の身体の事を自然に受け入れていくふー君と ふー君を支えてくれる先生や友達がいました。

落とした物を何度も拾ってくれた友達

転んだあと、立たせてくれた友達

帰りに車椅子を押してくれた友達

トイレの手伝いをしてくれた友達

階段を背負ってくれた友達

遊んだ帰り、暗くなって危ないからと家まで送ってきてくれた友達

そして、温かく見守って下さったお父様、お母様方

他にもたくさんの思いやりをもらってきました。

私達はみなさんのおかげで凄く元気をもらいました。

たくさんの事を教えてもらいました。

今のクラスにもお世話になった友達がたくさんいます。

本当にありがとう。

ふー君と出会い、私達もたくさんの事が変わりました。

私は以前は車椅子に乗っている人を見ると可哀想と思っていました。

お父さんは車椅子の人を見ても無関心でした。

自分の事に夢中で困っている人がいても誰かがやるだろうと思っていました。

そんな2人の初めての子どもはハンディキャップを持ったふー君でした。

ふー君と出会い知った事があります。

障がいを持っているからといって 可哀想では無いということ。

当たり前にできることが当たり前ではないということ。

できない事を手伝って欲しいと言うのは勇気がいること。

そして 人との出会いの大切さです。

たくさんの人がいる中で皆さんと出会えた事は偶然では無いと思います。

この中学校で歩いている皆さんの中に車椅子に乗っているのは、ふー君1人だけです。

けれど、どんな障がいを持っている人にも心があって皆さんと同じです。

ふー君のお父さんがふー君と出会うまで無関心であったように、自分には関係のない世界だと思っている人もいるかもしれません。

けれど、自分が楽しい時にこそ周りを見渡せる心の余裕を持って欲しいのです。

障がいの有無に関わらず、自分ではない誰かの気持ちに想像力を膨らませてみてください。

そして可哀想と思うのではなく、できない事がある人、困っている人に気づいて、手を差し伸べてくれる行動力と思いやりのある人たちがたくさんいる未来を これからの若者の皆さんに創っていってもらいたいのです。

そして手助けを必要とする側も感謝の気持ちをきちんと持つ。

次の時代のハンディキャップを持つ子ども達の先輩として、しっかり前を向き胸を張って欲しいと思うのです。

そうしたら、いつか 皆さんが結婚して子ども達に出会う頃には今よりも さらに優しい社会になっていると思います。

親としてだけでなく、”人”として、ふー君と出会い 知る事ができた思いや気持ちを書かせていただきました。

皆さんには、お手伝いをお願いしたり、もしかしたらご迷惑をおかけするかも知れません。

本当にごめんなさい。

けれど、これも何かのご縁だと思って付き合っていただけたら、嬉しいです。

3年間 よろしくお願いします。

これがママちゃんが ちょっぴり やせ細りながら 書いた手紙の一部。

今 思い返すと 中学生には少々 重めの内容 (笑)

でも あの時は 真剣に悩んで考えて考えて 思いを言葉にした。

生徒達は 真面目に聞いてくれていたそう。

少しでも この手紙でふー君の事を理解してもらい、過ごしやすい学校生活になって欲しいと願いを込めた。

そして支援学級に在籍する他の生徒さんの手紙や親御さんのお手紙もあった。

身体的なハンデキャップの子は息子だけだったけど、他の親御さんの手紙も本当に素晴らしく、改めて色々考えさせられた。

知ろうとすること、理解しようとすることは本当に大事な事だなと改めて思った。

みんなが過ごしやすい学校生活になると嬉しいなぁ…

その頃に書いたふー君の詩

「やさしさの魔法」

やさしさはふしぎなものだ

人にやさしくしてもらえるのは

幸せなのかもしれない

友だちに手伝ってもらう

先生に手伝ってもらう

家族に手伝ってもらう

やさしい人は世界に

たくさんいる

ぼくは幸せだなぁ

続く…

ほかの詩はサイトマップ ふー君の詩にあります。

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