第39話 子どもの自己紹介の手紙 筋ジストロフィーの息子と共に生きる父のブログ

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筋ジストロフィーの息子と共に生きる父のブログ 第39話

中学校入学

今回はママちゃんとふー君が主役の話。

Daddyは ほぼ登場しません。笑

入学式 当日。

ふー君とママちゃんが 2人で行く。Daddyは仕事。

ママちゃんは 数少ないママ友に声を
かけてもらい、ママ友が一緒に座ってくれたそうだ。

吹奏楽部の生演奏 ドラゴンクエストのテーマソングで 新中1年生入場。

すごい迫力のなか車椅子のふー君が
クラスの最後尾から入場してきた。

ママちゃん が 隣にママ友が座ってくれてて助かったと後から言っていた。

泣いてしまいそうだったと。

学年 200人ほどいる新入生の中で、
車椅子の子どもはただ1人。

我が子は、車椅子だった。

こんな気持ち、克服してると思ってたのに…なんて情けない。

ふー君は胸を張って 入場している。

また親が胸を張らないわけにいかない。

でも 正直、キツイなー。

この気持ちを共有してくれるDaddyは今日はいない。

まぁDaddyが共有してくれるとは
限らないと思っていたそうな。笑

隣がママ友で良かった。

そんなことを考えている時に校長先生の話が始まった。

校長先生は 新入生達におめでとうと
言う話と あるニュースの話を始めた。

バスで赤ちゃんが泣いてしまって
お母さんが 周りの人に迷惑がかかると思い、運転手さんに

「次のバス停で降ります。」

と言いました。

運転手さんは、

「本当に降りる駅はどこですか?」

とお母さんに聞くと、もう少し先の
バス停だと言う。

それを確認した運転手さんは車内放送で、

「赤ちゃんが泣いていますがお母さんの降りるバス停はもう少し先だそうです。泣いてる赤ちゃんが居ますが、そのバス停まで乗ることをご協力ください。」

とアナウンスした。

周りのお客さん達は

「どうぞ!大丈夫ですよ。」

と言い、お母さんは ありがとうございますとお礼を言った。

と言う話。

それぞれの立場での 思いはあると思いますが、先生はそのニュースに感銘を受けました。

お母さんの迷惑がかかるから降りますと言う気持ちに気づいた運転手さん。

大丈夫です。

泣いていても大丈夫ですよと言う周囲のお客さん。

そして、迷惑がかかるかもと 周りを
気づかったお母さんの気持ち。

そのすべての気持ちがひとつでもなければ 生まれないその時の思いやりの
空気?

この学年には、ハンディキャップを
持った友達がいます。

優しさや気付きで、中学生活をより
良いものにしてください。

と言う内容のお話。

ママちゃんの隣のママ友はウンウンウンと うなずいてくれてる。

それを見て また泣きそうになる
ママちゃん。

校長先生が学年全員、そしてその
保護者達の前で話をしてくださった。

正直とても嬉しかった。

心強かった。

そして、生徒達の退場。

唯一車椅子の自分の息子。

車椅子を意識することも少しずつ、
無くなってきたのに突きつけられる
現実にママちゃんは ぐったりだった
そう。笑

その後、各教室へ。

保護者も廊下で待つ。

ふー君の学年は一階にしてくれていた。

部屋の入り口には板の手作りスロープをつけてくれていた。

廊下で 立っているママちゃんに、
同級生のママが、

「ふー君 すっごい堂々としてたね。
めっちゃかっこよかったよ!」

と言ってくれた。

ママちゃんは自分のことに必死で、
ふー君の姿をそういう目で見てなくて。笑

胸を張ってる息子を見て負けずに胸を必死で張って涙を堪えてただけのママちゃん。笑

親も必死なのだ。笑

その後、家に帰って 心置き無く
ママちゃん号泣。笑

号泣して、なかなか昼ご飯を用意しないママちゃんに気を使って

ふー君が、

「なんか昼ご飯買ってこようか…?
弁当屋行ってくるわ。」

と 近くのお弁当屋さんへ行ってくれたらしい。

お弁当屋さんで 中学校の先生にあって

「買い物来てるんかー?。笑」

って言われたって帰って来たそうな。笑

始業式 当日

支援学級の先生に頼まれた全校生徒に向けた自分の紹介文。

他の支援学級の生徒さんも書いているそうな。

手紙を持って初登校。

小学校から学校へ行くのを一度も嫌がったことの無いふー君。

でも始業式の朝、ママちゃんに

「ちょっと気 重いな」

と言った。

「ふー君の大好物作っとくから、気合い入れて!頑張れ!!」

と言って送り出した。

でもその後ろ姿を見送りながら、
子どもがあんなに覚悟を決めて、
手紙を書くのに、親が書かないわけにいかないな…

少しでも 母の手紙でふー君を守れるなら、ママちゃん気合い入れて 母の手紙とやらを 書いてやろう…と覚悟を決めた。

何回かの授業に分けて支援学級の生徒の事を知ってもらう。

当人達が伝える事でより身近な事と
捉え学校全体をそういう雰囲気にして行きたいと言う。

が、当の本人や家族にとっては かなり勇気と覚悟がいる。

勘違いされる事もあるだろうし、偏見やいじめ マイナスに作用する事も考えてしまう。

学校側もそれなりに考えたんだろうけど、とてもデリケートな問題だと思った。

みんなへの手紙

ふー君の手紙(一部抜粋)

僕は小学校3年から電動車椅子に乗っています。

僕には病気があります。

筋肉の病気で手が上がりにくく重い物も持ちにくくなります。

ペットボトルを開けるのも難しくなりました。

これから背中や腰の筋肉も弱くなって来て真っ直ぐ姿勢が保てなくなるかも知れません。

今までは、みんなと同じように色々な事を経験したい気持ちはありましたが、それを諦めなければならない事もたくさんありました。

けれど、その時その時に出来る精一杯の事を友達や先生に手伝ってもらいながら やってきました。

これから1人でできない事も増えてくると思いますが、まだ自分でもできる事があると思います。

中学校も今までと同じで、できる事は自分で、できない事は友達や、先生、みなさんに手伝ってもらってやっていけたら嬉しいです。

3年間、迷惑をかける事もあると思いますがよろしくお願いします。

これが ふー君が自分の事を書いた手紙。

頑張った息子

この手紙を書いて良かったのか 今でもよく分からない。

ふー君 本人がどんな気持ちで書いたのかと思うと 正直 辛かった。

ここまで したんだから 絶対に楽しい学校生活になって欲しいと思った。

まぁ学校の生徒や先生達がふー君の事を知る良い機会にはなったと思う。

その日は約束通り ふー君の大好物を作ってあげたママちゃん。

少しホッとした雰囲気の夕飯になりました。

続く…

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