2021春⑩ アンビューバック 筋ジストロフィーの息子と共に生きる父のブログ

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筋ジストロフィーの息子と共に生きる父のブログ 2021春第10話

背中の痛み

前回 19年ぶりに再受診した専門病院。

これからは ここで急性期と慢性期を診てもらう事になった。

前回受診してから、食べ物は相変わらず固形物は食べれなかったけど、酸素飽和度の数値も安定してる。

2日前に背中の痛みを訴えていたけど 数値も95前後と安定してるし 問題視してなかった。

検査入院の手続きとリハビリ、アンビューバッグの使い方を指導してもらう。

部長先生の診察の前に 受付を済ませ リハビリの部屋を訪ねた。

綺麗な部屋で色々な器具がある。

地元のリハビリの施設もきれいだけど、太陽光が入りとても雰囲気がよかった。

手続きをして待っていると 若い男の先生が来てくれた。

「こんにちはー、はじめましてー」

爽やかな笑顔、隣には大学生の女の子が研修に付いているようで 似たような歳のふー君は ニヤニヤしてたな(笑)

軽い問診を済ませて、車椅子ごと 測りに乗る。

その後 空の車椅子を測って 体重を逆算する。

「んーと…28キロだね」

ん…待て待て 前回の退院時に測った時は30キロ以上あったのに…

「痩せてるやん!」

固形物こそ、食べれてなかったけど 頑張って高カロリーの食品を取っていた。

体重も痩せなければ OKだったのに 減ってしまってる。

Daddyもママちゃんも そして本人もビックリしてた。

「まぁ仕方ない、切り替えて行こう」

アンビューバッグ

考えても仕方ないので気を取り直して リハビリに入る。

まずは横になり 身体中の関節がどこまで動くか 角度を測っていく。

その光景を黙って見てた。

動かす事が少なくなった身体はリハビリを受けていても色々な関節が固くなっていた。

研修の女の子が角度をメモする。

ふー君はずっと喋ってたけど(笑)

一通り測り終えて アンビューバッグの登場。

使い方を習う。

リハビリの先生に気胸をした事を改めて伝えていたので、念の為に部長先生に確認を取っていた。

「気胸を何度かされてますし まだ日も経っていないので、少しだけやりますね?」

「はい、お願いします。それと復習の為に動画撮っていいですか?」

「もちろん、大丈夫ですよ」

とママちゃんが許可をとったので Daddyが撮影をしながら 話を聞く。

先生が実演してくれるのを 撮影しながら注意点を聞く。

「口に当てて、このタイミングでゆっくり…」

シュウウウ…

「おおお、いま 肺が膨らんだ感じした」

「おおおおおお」

みんなで拍手した。すぐ盛り上がる我が家(笑)

「もっかいお願いします」

「いいですよ」

シュウウウ…

「おおおおお、なるほどぉ~」

みんなで感心してた。

「じゃあ1度お母さん やってみましょう」

「はい、わかりました」

シュウウウ…見よう見まねでやるママちゃん。

「いい感じです!うまいうまい」

「やるやん、オカン」

「もっかいだけ練習させて」

シュウウウ…

気胸が心配や 言うてたのに 何回すんねん

と思いながら見てたけど、まぁ大丈夫なんだろうと 撮影してた。

「じゃぁ次Daddyやってみて」

「よっしゃ!まかせとけ」

「おら、行くぞ、1,2,3はいっ!」

シュウゥゥ…

「全然アカンやん!めっちゃ下手!」

みんな爆笑してた。アンビューバックてのは 凄く感覚が頼り。

つい力を入れてしまうので、優しく優しくやったら上手くいかなった。

気胸で また辛い思いをさせるのが可哀想だったし難しい。

でもなんか悔しいので 泣きの一回。

「最後もっかいだけええか?」

笑いながら頷くふー君。教えてもらったことをイメージして再挑戦。

「ほな行くで、3,2,1、はいっ!」

シュゥゥゥゥゥゥゥ

「めっちゃ下手やん!強いし!」

またみんなで盛り上がり、ワイワイ言いながら今日は諦めた(笑)

その後も色々呼吸の事だったり、説明を受けながらリハビリを受けた。

病院に受診の時はリハビリも受けていく方向になった。

リハビリも一通終わって、マットから車椅子に移乗する。

酸素飽和度SpO2

身支度を整えて、外していた酸素飽和度のモニターを足に装着。

挨拶をしてリハビリ室を後にした。

一階まで降りるエレベーターの中でモニターを見ると90前後だった。

「なんか数値悪いな…しんどい?」

「いや、そんなことない。ホンマや 低いな」

と言いながら待合室に戻った。

待合室で順番を待っている間も90前後をウロウロしてた。

しばらく待っていると看護師さんが

「こんにちは!えっと前回部長先生の診察でしたが、今回はどうしますか?」

「一応、先生の希望は受け付けてないんですが、もし部長先生がご希望なら かなり待ちますけど」

指名はできないけど、希望は聞いてくれるのか…なるほど

まぁまだこの病院の事は ほとんど分かってなかったので

「今回も可能でしたら、部長先生でお願いします。」

そういう事で しばらくかかったけど部長先生に診てもらう。

前回した検査結果の報告や、今後の話を説明してもらった。

背中の痛みも相談した。

診察室に入った時にはモニターの数値は90を切ってた。

聴診器で胸の音を聞いたりしてた。

「背中のどのあたりかな…いつから?」

ピーピーピー

モニターのアラームが鳴る。ヤバいと思ったのか ふー君が全集中の呼吸。

少し数値が戻り、アラームが消える。そしてまたしばらくすると

ピーピーピーピー

Daddyもふー君もママちゃんも苦笑いしてた。ふー君は

もう入院は勘弁して

と思ってたそうだ。それはDaddyもママちゃんも同じだった。

「すごい鳴ってるねぇ」

検査しよう

背中の痛みの話、そしてモニターのアラーム。

他にも何かあったのかわからないけど

「ん~…ちょっと念のためレントゲンとCT撮ってきてもらおうかな」

パチパチとキーボードを叩き、検査をオーダーする部長先生。

診察室を一旦出て、これは帰りは遅くなるなぁと思いながら検査へ

レントゲン、CT 先週も撮ったばかり、技師さんの顔も忘れてなかった。

「こんにちは!先週は有難うございました。覚えてますか?」

「あぁ!覚えてるよ。また来たんだね!」

雑談はええねんと思いながら、CTの台に移乗させていた。

まぁ側弯がひどくて技師さん達は四苦八苦してた覚えてるやろなぁ

今回はスムーズに撮影も終わり、また待合室へ

相変わらずモニターのアラームが鳴ったり、数値はあがらない。

しばらく待っていると診察室に呼ばれた。

「お疲れさん」

小さく笑って、パソコンに写る画像をみんなで注目。

「気胸だね…綺麗に穴開いてる」

その言葉に三人ともガックリと肩を落とした(笑)

「マジかぁ……」

しばらく言葉が出なかった。

まぁ一番ショックなのはふー君なんだけど。

「このまま帰るわけにも行かないので入院しましょうか」

「やっぱりそうなりますよねぇ…」

待合室で入院手続きができるのを待つことになった。

先生にお礼を言って部屋を後にする。

微笑みながら見送りに出てくれた先生に聞いてみた。

「あの、先生。今日教えてもらったアンビューバックなんですけど、ちょっと何回もやっちゃいましたし、強くやったりもあったんです。それで気胸になったんですかね?」

「ん~可能性はあるけど、それが原因じゃないと思いますよ。穴が広がったと言う事はあるかも知れませんが」

「そうですかぁ…あとはやっぱり背中の痛みが出たら要注意のサインですか?」

「うんうん、そう思ってもらっていいと思います。」

「わかりました。今後注意します。すいませんが入院中よろしくお願いします。」

アンビューバックをやった事が引き金になったかも知れないな…数値もここまで悪くはなかったし…

回数なのか、最後強かったからが原因なのか 申し訳ない気持ちでふー君を見てた。

まさかまさかの気胸再発で今年4回目の入院になった。

続く…

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