第33話 筋ジストロフィーの息子と共に生きる父のブログ 林間学校

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筋ジストロフィーの息子と共に生きる父のブログ 第33回

林間

5年生になると宿泊での林間学校がある。

イメージ的には山の中で自然に触れ合い親睦を深めて盛り上がる的なやつ。

車椅子になってから、初のお泊まりでの学校行事だ。

下見に行く先生達もふー君がどうすれば参加できるのか 探り探りの下見。

山登りやキャンプファイヤー、川遊びに肝試し。

オッサンになった自分でも 林間学校や修学旅行はよく覚えてる。

ふー君も 同じように思い出になれば嬉しいし、できるなら楽しい思い出にしてあげたい。

親の僕達からの希望は

無理な時は 別メニューでも構わない。

今まで通り、できるだけ参加させて欲しい。

ただそれだけ。

支援学級の先生や担任先生は、なんとか全部に参加できるように知恵を絞ってくれていた。

問題点としては、

山登り、川遊びにどう参加するか。

あとは、お風呂とトイレ問題。

5年生になった頃から、

宿泊学習は僕かママちゃんが 同行するか、

やる事を済ませて日帰りするか、

しなきゃいけないかなぁ〜と考えてた。

先生との連絡ノートの雰囲気だと、親が参加すると言う事は まるで考えてなさそうだった。

お迎えの時にママちゃんが聞いてみる。

「同行した方がいいんでしょうか?」

「先生達も大変でしょうし、他の子の事も見ないとダメですよね」

先生は、ビックリしたような表情で

「全然大丈夫ですよ!僕達がしっかり見ますので。今までふー君と関わった先生達も立候補で付き添ってくれます。」

「本番まで家での注意点や、介助方法なんかを教えてください」

「甘えちゃっていいんでしょうか?」

「ふー君もみんなと同じ扱いでいい思うんで、大丈夫ですよ。」

「ありがとうございます」

本番当日までに家でのやり方や注意点を何度も説明して行く事になった。

お風呂は家で使っているシャワーチェアを持っていく。

折り畳んでバスの荷台に積んでもらう。

いよいよ、本番当日

シャワーチェア以外は みんなと変わらない荷物。

早朝、学校まで送っていく。

電動車椅子で学校へ向かう後ろ姿が 楽しみに溢れてた。

学校に着いて、先生にしっかりお願いをして見送るだけ。

心配 半分 嬉しさ いっぱいって感じだった。

歩けなくなってから、遠足などのバスの席は前の方。

抱っこしてしか移動できないので どうしても前の席。

そこはやはり文句タラタラだ。笑

山登り

山登りは悪路用のでっかいタイヤの付いた車椅子を用意してくれていた。

こんなやつ↓

この車椅子にロープを巻き付けて、友達2人が引っ張ってくれる。

万が一のために先生が後ろで補助。

その計画を聞いた時に、それは…ちょっと…

とぶっちゃけ思った。

車椅子をロープで引っ張りながら登山…

さすがに申し訳ない…と思った。

先生にも言ったけど、

「大丈夫ですよ、若い先生がいっぱいなので」

いや、そういう事じゃなくて 汗

と そんなやりとりもあった。

心配をよそに 子供達は 率先して引っ張ってくれて、交代しながらの登山だったそう。

ふー君には、みんなの気持ちをちゃんと説明した。

山頂についても 色々 自由にしたいだろうとの事で、普段の電動車椅子はタクシーに積んでもらい山頂へ。

そこで移乗させてもらい友達とワイワイ。

本当に感謝しかない。

みんなと山登りを経験し、山頂に着いた達成感も少しは感じれたのかもしれない。

帰りは危ないのでタクシーで先に下山させて頂いた。

川遊び

水着で川に入り、鮎の手づかみ体験だ。

先生におんぶしてもらい、川の中に座らせてもらう。

あぐらをかいた状態で、その中に鮎を放してくれた。

みんながキャーキャーと言う中、動けないふー君は 捕まえられないと思っていた。

あぐらの中で泳ぐ鮎を捕まえる事が出来たそう。

みんなが何匹取った!と騒ぐ中でふー君もゲットする事ができた。

あとは川の水は冷たいので、早めに上がってマッサージをしてくれたり。

本当に一生懸命 考えてくれたんだなぁと感じでた。

宿について、お風呂用の車椅子を使って みんなとお風呂に入る事もできた。

夜は みんなですき焼きを食べて、肝試し。

そしてキャンプファイヤー。

寝る部屋も友達と同じ。

トイレ

夜中のトイレの事も心配だった。

失敗したら 友達に笑われるかもしれないし、恥ずかしいだろう。

夜は先生と同じ部屋に寝るしかないかと。

支援学級の先生が考えた案がある。

ふー君と先生の指に紐を付ける。

向かいの部屋まで繋がって、トイレの時は紐を引っ張る。

「これで大丈夫!」

自信満々の先生だ。

面白い事、考えるなーと思ってた。

そして、夜中 トイレをしたくなった ふー君。

紐を引っ張る。

反応がない。

何度も何度も引っ張る。

反応なし。笑

仕方ないので、友達に手伝ってもらったそうな。

次の日の朝

「ふー君、紐引っ張った?」

「めっちゃ引っ張ったよ!」

「爆睡してたわ、笑」

アイデアは良かったけど、相当疲れてた先生。

そりゃぁそうだよね。

帰ってから 楽しそうに報告してくれた ふー君でした。

ソーラン節

5年生の運動会も今までと変わらない。

できるだけ参加。

徒競走、騎馬戦、ソーラン節。

徒競走は、距離を短くして電動車椅子で参加。

毎年、ダントツの最下位だけど胸を張りなさいと伝えてる。

騎馬戦は 危険だし 他の子に何かあっても行けないので心配だった。

参加方法は先生におんぶしてもらい参加。

先生の背中から、あっちこっちと指示を出す。

優しい先生だ。

5年生のメインイベントは ソーラン節。

手作りの羽織を羽織ってカッコよく決める。

片手で車椅子を操作しながらソーラン節。

まわりの子供達が裸足なので、踏んだりしないかとハラハラしてたけど、うまくやれてた。

毎年毎年、どう参加させるか 先生と相談しながらの運動会。

ソーラン節を眺めながら 色々複雑だったが、120人ほどいる5年生の中に1人車椅子のふー君はやりきった顔をしていた。

子どもに胸を張りなさい。

と伝えて親が胸を張らないわけにいかない。

なかなか胸を張るのは難しいことやね。

毎年いつもそう思っていたなあ。とママちゃん。

毎年 ふー君の出番が終わるといつも胸を撫で下ろす運動会。

そしてふー君の出番が全部終わってやれやれと一息ついていると 運動会のメインイベント6年生の組み立て体操が始まった。

1人技2人技4人技…だんだん人数が増え高度な技になっていく

トドメの巨大ピラミッド(今は危険だから中止になってる)。

珍しくママちゃんと並んで観ていたDaddy。(いつもはバラバラでみてる2人笑)

「これは…ムリやな」

「うん…」

今年の運動会が終わったら次の学年の子ども達を観て、来年のことを考えてしまう。

毎年のことだったけれど、組み立て体操は別格だった笑

周りの拍手や歓声の中、真剣な顔で観ていたDaddy達。

その時、Daddy達よりももっと深刻な顔で観ている人がいた。

支援学級の担任のY先生だった。

帰りに、支援学級の先生に工夫をこらして運動会に参加させてもらったお礼を言う。

そして来年の組体操の話を少しだけした。

すると支援学級のY先生は

「いやー、僕もどうやったら参加できるか考えて見てました。」

「とりあえず今日は めっちゃ頑張ったふー君を褒めてあげてください。」

そう言ってくれた。

自分達 親よりも深刻な顔で観ている先生の姿。

あー親以外にも一緒に気持ちを共有してくれる人がいることがこんなにも心強いんだ。

中学校へ

小学校の先生からの提案で中学校に入学のお願いと見学に行こうと話があった。

まずは Daddyとママちゃん。

そして担任の先生と支援学級の担任の先生にもついてきてもらった。

学校生活での介助は、Daddy達よりも支援学級の先生の方が詳しい。

必要なら改修なども検討する必要があるため、早めに行く方がいい。

予算を獲得するためもある。

中学校には、ちょうど車椅子の先輩がいる。

ふー君と入れ替わりで卒業するけど、ある程度はスロープが設置されていたりする。

施設面でも介助する先生方も慣れているそうだ。

念の為のお願いと、施設面の見学。

手助けしてほしい事をまとめて説明をする。

先輩は 少しだけなら立てるそうで、ふー君とは少し違う感じ。

立位が取れないふー君の介助方法を話した。

進行性の病気という事も理解してくださり、6年生の夏ごろに もう一度 話しましょうとなった。

夏頃でも 予算の獲得には問題無い事を教えてくれた。

やはり、どんな先生がいるのか、雰囲気がどうなのか 見ておくのは大事だと思う。

受け入れはOK。

後は6年の夏休み辺りにふー君を連れてもう一度行く事になった。

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