第29話 筋ジストロフィーの息子と共に生きる父のブログ いい所悪い所

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筋ジストロフィーの息子と共に生きる父のブログ 第29回

みんなと一緒

新しいクラスになって、また新しい友達が増えた。

支援学級の担任もいつも助けてくれたS先生が正式に担任になってくださった。

ふー君も僕達も凄く心強かったのを覚えてる。

でも支援学級に在籍する生徒が増えて新しい若い先生がほぼ担当だった。

若い先生はできるだけ休み時間に
外遊びをさせてくれようと気にかけてくれていた。

この頃の流行りはドッジボールだ。

内野で逃げ回ったり、外野でボールをもらい投げたり。

3年生の時に比べると楽しそうだった。

4年生ではクラス対抗のドッジボール
大会がある。

クラス全員が優勝を狙って休み時間になればドッジボールの毎日だった。

4クラスで大会を行い優勝を争う。

特にふー君の為の特別ルールは無かった。

ふー君ももちろん参加して、クラスは決勝に進んだ。

決勝にもなると 子供達はエキサイト
してくる。

相手のクラスの子供達が内野にいる
ふー君に

「ふー君狙え!ふー君!」

と車椅子でチョロチョロ動き回る
ふー君を狙ったりする。

相手クラスの担任の先生がその子達に後で注意してくれて、後で謝りにきたそうだ。

その話を聞いてDaddyは

「謝りに来てくれて どう思った?」

と聞いてみる。

「みんなと同じようにドッジボールしてんねんから、狙われるのが普通やんって友達に言うたよ」

「謝りに来てくれて嬉しかったけど、謝らんでええやんて言うてん」

「そやな、父ちゃんもそれでいいと思う」

「当てれるもんなら 当ててみろや~って、めっちゃ避けてたし」

「そうなんや笑 」

「間違ってないと思うよ。みんなと
同じルールでやらなあかん時もあるからな」

「車椅子でも歩けても 同じようにせなあかん時がこれからもいっぱいある。」

「嫌な事、悲しい事もあると思うけど、それもみんな一緒やからな?」

「うん、わかった!」

「でもふー君のことを考えてくれた先生の事も感謝やな」

「うん、わかってる。」

「友達も車椅子やからって遠慮せんと ちゃんと狙ってくれた友達も良かったな」

「うん、避けるしかないねんけどな、ふー君 俺が守ったるわなって言うてくれる子もおったよ」

「へぇ カッコええなー。結局どうなったん?試合」

「うちのクラスが優勝やで~」

「おおお!凄いやーん」

とご飯を食べながら話を聞いた。

きっと他の先生方の間でも 色々考えてくださっているんだろうなと思った。

本当に 暖かい先生達ばかりだ。

先生が語ってくれた学校。

体育の授業ではバスケをしたり。

バスケは片手で電動車椅子を操作しながら片手でボールをつく。

案外できるようで 嬉しそうに教えてくれた。

帰ってから友達と遊ぶ事もまた増えてきた。

ふー君の車椅子は1年で、もうボロボロになっていた。笑

砂場であろうが砂利であろうがガンガン突っ込んでいくので、タイヤやベアリング関係がすぐボロボロになり、何度も交換していた。

親としては嬉しかったな。

4年生になって 恒例のスポーツテストがある。

ソフトボール投げが3m。友達は20m以上で悔しがるふー君。

男子はみんな教室に戻り

「〇〇君、何秒やった?」

とかお互いに報告しあって盛り上がる。

「ふー君は何秒?」

と聞かれ

「34秒!」

と自慢げに答えると

「お、おう。すごいやん!」

「S先生押してくれたら もっと早いのにな!」

ふー君のこういう所がかっこいいなぁと思ってた。

家でも報告をしてくれて

「反復横跳びは11回」

「長座体前屈は55センチやった」

「車椅子でちゃんと色々挑戦してきたで」

「S先生がな、二回目は真っすぐ走れ!って言うてくれてん。そしたら2秒早くなってん!」

「あとな、走り幅跳びで車椅子ごと ひっくり返った!」

走り幅跳びは みんなと同じように踏切線でウイリーをする。

ウイリーをしながら砂場に車椅子で突っ込んだら 前のめりになる。

車椅子ごと 前にひっくり返ってしまった。

「顔中 砂まみれで 口にめっちゃ砂入った。面白かった~」

と ご満悦だった。

迎えに行った時にS先生が説明してくださり謝ってくれていた。

「大丈夫ですよ。どんどん色んな事に挑戦させてもらって私達も嬉しいです。」

「ありがとうございます。そう言って貰えるご両親なので 僕もついガンガンやり過ぎちゃって。」

横でママちゃんと先生の会話を聞いていたふー君も嬉しそうに笑ってたそうだ。

支援学級のS先生が目標を話してくれた事を思い出していた。

支援学級の子達やふー君のような車椅子の子が クラスでも学年でも学校でも、みんなと 一緒に学校生活を楽しく送る事ができるそういう学校にしていきたい。

本当にそういう学校になれば嬉しいなと思った。

いいところ、わるいところ

勉強の方はと言うと、成績は悪くはなかったけど、時間的に間に合わない事が多くなった。

筆圧が弱いので濃い鉛筆を持たせたりした。

濃い鉛筆で間違えると今度は消すのにも時間がかかる。

鉛筆につける補助具やスティック型の消しゴム等 色々試した。

定規も抑えるのに力がいるので 滑り止めをつけたり、つければ今度 動かしにくかったり。

ちょっとずつ時間が足りなくなってきたと思う。

まぁ本人の性格もあるんだろうけど。

4年生になると授業の時間も増え、移動教室もまた増える。

移動教室の時は 友達がおんぶしてくれたり、支援学級の先生がおんぶしてくれたり。

車椅子は友達が3人集まって 階段を上げてくれたり。

友達がもし怪我でもしたらと ヒヤヒヤして聞いてたけど、担任の先生が

「友達がみんな進んで運んでくれています。今は見守りましょう。」

と言ってくださり、任せっきりだった。

学校側もお試しの昇降機ではなく 常時 置いておける昇降機が必要だろうと 手続きに、動いてくれていた。

今まで出てきたのは お試しの昇降機です。

学校が各方面に調整してくださり昇降機が学校に常設できるようになった。

ふー君は移動に時間がかかるのが少し不満そうだったけど

「先生とか友達が楽になるから嬉しい」

移動教室が間に合わない時は、ダッシュで押してくれたりおんぶしてくれたり。

「押してもらったらめっちゃ早いねん、すごいわー」

いつも友達の凄い所を話してくれていた。

素直に友達のいい所に感心してる様子だった。

親としては複雑な気持ちで聞いていたけど、自分と比べる事もせず 人のいい所を褒めるふー君に 見習わないとな…と思わされた。

ふー君と友達を勝手に比べ 凹んだりしてるのは 僕達 親だけなんだと いつも気づかされる。

「人の悪い所を見つけるのではなく、良い所を見つけれる人になりなさい。」

と小さい頃に話した事があった。ちゃんと友達のいい所を見つけ素直に凄いと言えるふー君が嬉しかった。

苦手なプール授業

暑くなってくるとプール授業が始まる。

ふー君は冷たい水が苦手だった。

心臓に良くないのかも知れないと思い、プール授業の前には必ず大学病院を定期受診して検査をしてもらっていた。

毎年 プール授業に参加して問題無しと言われ 残念そうだった。笑

プールに入る時の注意点を聞く。

体をできるだけ冷やさない事。

特に泳ぎ終わった後でプールサイドにいる時はバスタオルをかける等の寒さ対策。

泳ぐなら25mじゃなくて半分ぐらいに。

まぁ泳げないから これは気にしない笑

リハビリ要素を取り入れる。

ぷかぷか浮いている背中に手をいれて ゆさゆさ ゆっくり揺らす。

背骨のたわみが取れて 曲がりがやわらぐそうだ。

プールから出たら温水シャワーで暖めてもらう。

とにかく冷やさない事を考える。

入らなければいいと言う考えもあるけど、浮力が働くので 水の中は陸上より 色々動ける。

リハビリにもなるし。毎年参加しようと思っていた。

温水シャワーなんてのはなかったけど、温かいお湯をタライに張ってくれて、そこで行水をさせてくれてた。

本当に感謝してもしきれない先生達だった。

ふー君が卒業してからだけど、プールに温水シャワーが設置された。

先輩が作った道、ふー君が作った道。

みんなが過ごしやすい学校に もっともっとなればいいなぁ。

続く…

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