2021春⑧ タブー 筋ジストロフィーの息子と共に生きる父のブログ

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筋ジストロフィーの息子と共に生きる父のブログ 2021第8話

お世話になりました

医療センターを退院して しばらく落ち着いた日々が続く。

次にお世話になる急性期の病院を考える。

小児科を卒業する時に成人の内科、循環器科、神経内科に診てもらう話もあった。

小児科の先生達が奔走してくださり 他の科に転科する事を提案してくれたから。

循環器科は医師不足で科としては休診になっていた。

神経内科は筋ジス患者を診るのは消極的で受け入れはしてもらえなかった。

部長さんや先生方が 奔走して下さったけど受け入れ先の科が見つからず、産まれた時からお世話になった医療センターとの繋がりが切れてしまった。

不安な気持ち、寂しい気持ち、色んな気持ちが入り交じってた。

医療センターの担当医師が筋ジスの患者をたくさん診ている専門病院へ連絡し、そこへ行くように言われた。

急性期に受診できるのが他県の大学病院では困るだろうとの配慮だった。

医療センターの小児科の部長先生が、退院前に話してくださったこと。

「私達ドクターは 万能じゃなくて、色んな病を診れたら良いんだけど ごめんなさい。」

「専門じゃ無いから、いつもこの治療で良いのか、ふー君にとって最善の治療が出来ているのかって いつもいつも考えます。担当医の先生も凄く悩んでた。」

「ふー君にとって、一番良い形で生活出来るように 頑張ろう!お母さん。」

「長い間受診し続けた大学病院の先生もいるのに、今さら専門病院に行くと言う酷な選択を させてしまって申し訳ないと思ったんだけど。」

「ふー君の病気をよくわかった先生に診てもらうのがいいと思います。」

「まずは小さい頃からずっと診てもらってきた 大学病院の先生に不安な気持ちも全部 話してみて。」

部長先生は言葉を丁寧に丁寧に選んで話してくれた。

言いにくい事を話すのは大変だったと思う。

その話を聞いて、もうこれ以上 この先生には迷惑はかけれないなと思った。

この日が医療センターから卒業した日だ。

勇気が出る大学病院

担当医の先生に言われた専門病院は産まれて約半年の頃にセカンドオピニオンで1度受診した事がある病院だ。

訪看さんも 医療センターの医師も車で約1時間の所に筋ジス患者をたくさん診てくれる専門病院があるのにと不思議だったそうだ。

そこの専門病院が悪いとか そういう事ではないけど、Daddy夫婦は専門病院に行くのは抵抗があった。

お姉さんに勧めてもらった大学病院に通院する事を こだわったからだ。

どん底に辛い時、大学病院で教授先生に出会った事は、僕達にかなり影響を与えた。

前向きに病気と向き合えたのも 教授先生のおかげもあったと思う。

受診する度に

今 こんな治療法が研究されています。

世界では こんな治療法。

日本では こんな治療法。

もう少しです。もう少し頑張ろう。

と、いつも希望と勇気をもらえた。

でも大学病院は他県だし車で2時間はかかる。

医療センターが受け入れが難しいなら 大学病院で…

と思う事もあった。

本当にタブーなの?

同じ病気の子を持つ知り合いママさんに相談してみる。

この人も医療関係者で既にお子さんが専門病院に通院している先輩でもある。

通院するなら どちらかになる。

専門病院か大学病院。

慢性期を診てもらっていてこそ急性期。

急性期を診てもらうなら慢性期も診てもらっていた方が絶対に良い。と言う意見。

訪看さんにも相談してみる。

答えはやはりタブーであると言われた。

訪看さんにDaddy家の考えを話してみた。

専門病院は生後半年の頃に受診した事。

症状の重くなっている先輩を見た事。

まだ赤ちゃんのふー君の未来を嫌でも想像してしまった事。

一生懸命に頑張っている先輩達を見て、めちゃくちゃ失礼なのは わかっているけど、親として幼く未熟だった僕達はビビってたのかも知れない。

専門病院の先生は、今はなにもすることが出来ないけど、いつでも来てくれて良いからね。と優しく言ってくださった。

そのセカンドオピニオンの後に、最後の望みをかけて受診した大学病院。

大学病院の教授先生はもう引退されたのか診察は後任の若い先生になっている。

それでもいつも帰る時には

もう少しだ。もう少し頑張ろう。

と思えた。

そんな思いを訪看さんに聞いてもらった。

「じゃあ、そのままの気持ちを伝えてみればいいんじゃないかな。」

「確かにタブーなのは本当だけど、正直に話してみたらいいと思う。」

と言ってもらえた。

ドキドキしながら

医療センターを退院して しばらくして大学病院の受診予約の日があった。

いつもの様に 普段の生活、気胸でお世話になった後に、縦隔気腫、誤嚥性肺炎で入院したこと。

医療センターからの手紙を渡して経過報告をした。

「大変だったね。」

と 優しく言ってくださった。

「大変だっただろうけど、今回の 気胸や縦隔気腫、誤嚥性肺炎も君の病にはよくある話だから。心配しなくても大丈夫。」

「君の病を診てる 僕達からすれば 気胸も縦隔気腫も誤嚥性肺炎も よくあること。大変だっただろうけど、びっくりすることじゃないからね。」

「ただ 心臓のVT心室頻拍に関しては 1度起こってしまったからには、これからも検査をする事になるね。それはまた 考えよう。」

「今回、小児科で君の病の事をあまり詳しく 知らない先生達だったから、対応に困られたんだよね。」

「君にとって 最善の治療をする時に、病に詳しく無いから どうしても回り道をしてしまう。」

「最短で 君にとっての一番良い治療を考えてくれる 近くの専門病院に 行くのは良いと思うよ。」

「ここでも もちろん良いんだけど、やっぱり君のお家からは遠いから 少しでも近い 、君の病の事をよく診てる専門病院に、そろそろかかっておいた方が良いと僕も思う。」

大学病院の担当医先生は、いつも本当に優しいのだ。

今回の3回の入退院のことが専門病院に行く 良いきっかけだったのかもしれない。

ドキドキしながら聞いてみる

「あの…先生 専門病院に通うことになっても、こちらの大学病院にも診察受けに来てもいいですか?」

「え?あーうんうん。全然かまわないよ。」

優しく笑いながら答えてくれた。

思ったよりあっさりとした返事に拍子向けしたけど、Daddyもママちゃんもホッとした。

大学病院の繋がりまで切れなくてよかった。

遠くから泊りで大学病院に受診する方もいる。

そういう人たちは当然 地元で急性期を診てくれる病院があるわけで、それもタブーな受診になるよね。

どちらも泊りではなく通える距離に病院があるのは贅沢な悩みなのは わかってるつもり。

もしかしたらDaddy家は変わってるのかも知れない。

そんな訳で他の人にとっては当たり前、Daddy家にとっては一大決心の専門病院に受診に行く。

約19年ぶりの受診となる。

Daddyとママちゃん、ふー君、そしていつもお世話になっているヘルパーさんが是非同行させてくださいと願い出てくれた。

このヘルパーさんとの出会いもふー君には大事な出会いだった。

その話はまたの機会に。

4人でドキドキしながら病院へ向かう。

時間よりかなり早く病院についた。

いい先生に会えるといいなぁ。

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