第30話 筋ジストロフィーの息子と共に生きる父のブログ  車椅子の手伝いは禁止

筋ジストロフィーの息子と共に生きる父のブログ
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筋ジストロフィーの息子と共に生きる父のブログ 第30回

何を優先するべきか

4年生の夏休みも相変わらずプール授業を頑張っている。

やっぱりテスト時間が間に合わない事が多かった。

問題が最後まで書けない事が目立つようになって来た。

テスト時間を伸ばすか 途中でも止めさせるか 先生達も悩んでくれている。

よく観察していると考える時間が長いらしい。

作業的にはまだ 問題無さそうだ。

先生から事情を聞いてママちゃんと相談。

リハビリの先生に相談しても まだそこまで遅れる事はないと思うと返答があった。

何を優先するか。

やはりまず時間を守る事が大事だと思う。

限られた時間の中で答えを考えて点数を取る事にしようと思った。

ふー君にも そう話した。

テストは時間内に終わらせる。時間が来れば途中でも終わらせて欲しいとお願いした。

成績に関係してくるけど、時間を守る事の大切さも知って欲しかったから。

生きていく上で時間を守ると言う事は凄く大事だと思う。

それからは間に合わなかったり、たまに間に合ったり。

ふー君は少し優柔不断な所があるので、そこをなんとかしたいなと話していた。

この問題は ほぼ性格なので なかなか治らない笑

尽きない心配

夏休み明けから 友達と遊びに行くことがあまりなくなった。

送迎はまだ続いていたけど、途中までは友達と帰り、家に帰ってからは出かける事が少なくなった。

見てる限り友達関係は悪くなさそうに見える。

担任の先生や支援学級の先生にも 様子を見てもらう。

遊びに行っても心配。家にいても心配。

どっちにしても心配なのだ。

車椅子のふー君と遊ぶのは難しい時もあるだろうし、友達もまだ4年生で幼い所もたくさんあるだろう。

ママちゃんがある日相談をしてきた。

「最近、あんまり遊びに行かへんけど大丈夫かなぁ?」

「んーまぁ遊びに行っては欲しいけどな」

「友達も車椅子の子と一緒に遊ぶ事を考えなあかんし、楽しい事あったら そっちに夢中になるやろうしなぁ」

「やっぱり孤立する時もあるんちゃうかなぁ」

「ここは手を出す訳にも行かんし、見守らなあかん時ちゃうかな」

「そっかぁ…」

毎日見てるママちゃんは心配なのは当たり前だ。

支援学級の先生は仲のいい友達は みんな塾やそろばん、サッカーや野球、柔道など習い事をしているみたいだと教えてくれた。

学校内では 今まで通りワイワイしてるそうだ。

だんだん みんな習い事を始める時期だし 仕方ないと言えば仕方ない。

ふー君 10歳になる

そうこうしてるうちに 10歳の誕生日が来た。

生まれた時に病気がわかり もう10年…

あっという間だった。

時間の流れが速すぎる。このまま止まって欲しい。

そう考える事もたくさんある。

治療法が大きく進んだというニュースはなかった。

少し先の事を考えて 不安になる時もあった。

誕生日は ふー君の希望でサーティワンのアイスクリームのケーキ。

アイスクリームのケーキなのに ロウソクを立てて大合唱する。

ふー君が楽しんでるうちに どんどん溶けてしまった笑

病院へ行こう

少し肌寒くなって来た頃、鼻水ジュルジュルのふー君。

学校を休んで病院に行くほどでも なかったけど、病院に行く。

熱を出して寝込むというのは、出来るだけさせたくない。

風邪もそうだけど、何より筋肉の低下が怖いから。

学校が終わる時間には 近くのクリニックは時間外だから 夕方の診療に行く。

ママちゃんは すけまる&ラブ子を見ながら夕飯や家事で忙しい。

「病院連れて行きたいけど、夕方はバタバタやねん」

とママちゃん。

「それなら病院1人で行けばいいんじゃない?」

とDaddy。

「でももう暗くなるの早いし、大きい道路も通る。歩道は狭いし心配やわ」

「わかるけど、時間あわせれば病院で待ち合わせできるし、1人で病院行けるようになるのも必要やろ」

「友達ともウロウロしてんねんから 大丈夫や」

と話していた。クリニックはDaddyの通勤途中にある。仕事が終わる時間を調整すれば病院には一緒に行ける。

クリニックはだいたい車椅子で20分ちょっとの場所。

夜間、車椅子は 視認しづらいので、自転車のライトを取り付けてアピールも忘れない。

ふー君と時間合わせて クリニックまで。

買い物なんかは 1人で行くこともあったけど クリニックまでは 初めてだった。

寒くないように身支度を整えて見送るママちゃん。

風邪気味だし心配だったそうだ。

送り出してから数分、気になって仕方ないママちゃんは 大急ぎで すけまる&ラブ子の用意をして、自転車で追跡。

指定していた道とは違う道を進むふー君。

見当たらなくてハラハラしたそうだけど、やっと発見。

チョロチョロと歩道や車道を行ったり来たりしながら 進む。

Daddyとふー君は何も知らなかったけど、ママちゃんは1人で

はじめてのおつかい 状態だった笑

無事にクリニックに着くのを見届けてから戻ったそうだ。

クリニックに来た ふー君は 鼻水を垂らしてたけど、嬉しそうだった。

「全然1人で来れるわ、余裕や」

と自慢げだった。

「さすがやな~、今度からは1人で来れるな」

「来れる来れる」

とワイワイしながらクリニックで診てもらった。

車椅子の手伝い禁止令

風邪も良くなって いつもの日常。

学校では友達が手伝ってくれたり支援学級の先生が手伝ってくれたり。

車椅子を手動モードに切り替え 後ろから友達が押してくれていた。

ウイリーをさせて遊んでいたのか、手押しハンドルに体重をかけて 前輪を浮かせる。

だんだん激しくなって来たのか 全体重を手押しハンドルにかけた瞬間…

ぐいっ! ガッシャーン!

後部についている転倒防止も役にたたず 後ろに勢いよくひっくり返ってしまった。

少し体格のいい友達だったので、なかなかの勢いで後頭部を強打した。

慌てて 友達や先生が集まり少し騒ぎになった。

打ったのが後頭部、なかなかの勢いで ほぼ無防備という事もあって、病院に行くことに。

家にいたママちゃんにも連絡が入った。

慌てて チビたち2人を連れて自転車で医療センターへ。

検査の結果、問題はなし。

支援学級の先生、校長先生が来てくれていた。

帰りは支援学級の先生をママちゃんの自転車に乗るように指示する校長。

校長先生、ママちゃんと子供達は タクシーで帰った。笑

学校に戻ると この問題で職員会議が開かれる。

色々な意見が出たんだろうけど、クラス担任の先生に聞いた話。

「これからは子供達が車椅子を押す事はダメと言う事になりました。」

その連絡を受けて 担任の先生と支援学級の先生に連絡帳で 僕達の考えを伝えた。

担任の〇〇先生、支援学級の〇〇先生へ

いつもお世話になっております。〇〇です。

学校では もう子ども達が車椅子を押してはダメだと聞きました。

今回の事が原因ですよね。

確かに4年生では まだ突拍子もない事をしてしまう事もあるでしょう。

危険なんだろうなと正直思います。

けれど ふー君は友達に車椅子を押して貰うことは 嬉しい事だろうなと思っています。

車椅子が危険である。

介助が危険である。

と言う図式が出来てしまうと寂しい気がします。

障がいを持った方や子どもに対して 手を出しにくい、

声をかけづらいと言う雰囲気は確かに大人の世界でもありますが

ふー君と接した学校のお友達が小さい頃からの積み重ねで

障がいのある方への接し方を自然と身につけてもらえれば

ふー君にとっても、私達 親にとっても 嬉しく思います。

これから子ども達が大きくなり

世の中に出た時に 障がいがある人が 当たり前に受け入れてもらえる未来

そんな素敵な世界を造っていって欲しい。

そんな世界になって欲しいという願いがあります。

どんな道具にも危険はつきものです。

車椅子が危険なものではなく、道具の使い方、接し方が大事なんだと言う事を 子ども達に伝えて欲しいと思いました。

そして ふー君には 感謝を忘れず、障がいを持っていても 周りの人達の為にできる何かを見つけ実行できる人になって欲しいと願っています。

いつも大変お世話になり感謝してもしきれません。

ただ私たちの気持ちもお伝えしたくて書かせて頂きました。

最後に今回、手伝ってくれていたお友達の気持ちは大丈夫でしょうか?

ーーーーーーーーーーーーーDaddy&ママちゃん

学校としっかり意見交換ができる連絡帳の存在は本当に助かりました。

そして僕たちの気持ちになんとか答えてくれようとする先生たちがいました。

続く…

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