筋ジストロフィーの息子と共に生きる父のブログ 2021第12話
胸膜癒着術をして気胸の穴も塞がり無事に退院することができた。
食べれる物を探しながら 少しずつ慣らしていく。
退院から6日経った頃。
少し背中に違和感がある。
五週間に及ぶ入院生活を思い出す。
嫌な予感…
退院してからSpo2は98前後だった。
背中の痛みを訴える前日から95程度までしか上がらなくなっていた。
上がらないSpo2と背中の痛み。
痛みだけで 辛くはなかった。
呼吸器を使い酸素を入れれば 数値は上がるだろうけど、もし気胸なら肺に圧力をかけるのは まずい。
退院したばかりだけど、念の為に診察を受ける事にした。
土曜日で診療日じゃなかったけど 診てくれるそう。
簡単な入院の準備をして病院に向かう。
静かな病院のロビー。
診察室に通してもらって 先生の診察を待つ。
数値は相変わらず上がらなかった。
先生が来てくれて 一通り問診。
そしてレントゲン撮影。
先の入院で顔見知りになった技師さん達もびっくりしてた。
診察室に戻り、静かに先生を待つ。
先生がパソコン画像を確認。
全員黙って見てた。
「ん〜…気胸ですね…」
嫌な予感が的中。
ママちゃんがガックリと肩を落とした。
Daddyも思わず
「マジか…」
と、つぶやく。
主治医の先生ではないので、念の為CTも撮影する事になった。
結果は変わらなかった。
癒着術をしているので 軽く済むかと思っていたけど、結構穴が大きいみたい。
即日 入院となってしまった。
言葉も出なかった。退院したら やりたいことがあったのに。
大学の試験に追われ やっと試験が終わったばかりだった。
前回と同じように 入院の手続きや同意書等の説明を受けサインをする。
やはり今回もドレナージを行なう。
簡単な準備をして来ていたので、ドレナージを見届けて家路についた。
帰りの車内は 物静かな僕達だった。
何度も何度も 入退院を繰り返すようになった。
不安で仕方がなかった。
ママちゃんも同じ気持ちだったろうな。
それはふー君が1番思ってるだろうな。
しっかり前向きに過ごさないと。
不安でなんでも やることは変わらない。
前向きに感謝を忘れず できる事を精一杯。
絶対乗り越えれるはず。
次の日になって主治医の先生から連絡があった。
恐らく気胸の穴が開いたのは、癒着の弱い所だと思われる。
再度 穴が塞がったタイミングで癒着術をすることに決まった。
薬剤を増やして 強くて広範囲の癒着を目指す。
このタイミングで緊急事態宣言が発令され、完全に面会が出来なくなった。
毎日、連絡を取りながら 穴が塞がるのを待つ。
穴が開いたままでも 呼吸器を使用する事になった。
二酸化炭素が自力では飛ばせなかったから。
弱い圧力で呼吸器をしながら 穴が塞がるの待つ。
2週間が経った頃にやっと穴が小さくなった。
レントゲンやCTで確認すると肺の周りに空気が残っている。
ドレナージの先端を空気層に刺し直したりして、空気が抜けるのを期待。
結局 思った程 空気は抜けなかった。
痛みと熱に耐える為、元気がでる曲のプレイリストを作成してたみたい。笑
もう少し空気を抜きたいと言うことでドレナージの管から ブドウ糖液を注入する。
浸透圧を利用して 肺と胸膜の隙間をできるだけ少なくしようと言うもの。
やってる事は癒着術と同じ。前回の薬剤よりも大量のブドウ糖液を流し込む。
痛みと発熱は 前回以上だったらしい。
面会も付き添いもできない中で もうほぼ大人と言えども 心細かったと思う。
翌朝まで 熱は続いたらしい。痛みは徐々に引いていく。
数日経って レントゲンで確認。
結果は まだ隙間がある…だった。
落ち着いた頃に もう一度 ブドウ糖液を注入した。
結果は まだ隙間が…
前回の癒着がくっついていて そう見えるのかも知れない。
目視できるわけではないので、判断が難しいらしい。
最後にもう一度 自己血を使った癒着術にトライすることになった。
自分の血を抜き、その血液を注入し隙間を少なくするのと、見えない小さな穴を塞ぐ目的だ。
やはり 結果は 100点にはならなかったが これでOKと言うことになった。
最後に薬剤による癒着術をするか どうかの選択になった。
この3回の注入で 癒着は強くなっているはず。
さらにダメ押しで強く癒着させるか ということ。
Daddyの意見、ママちゃんの考えを伝えて、判断はふー君 本人に任せた。
かなり迷っていたけど もう一度頑張って帰ると言う事になった。
今までの約4倍の量のミノサイクリンと言う薬剤を注入する。
最後の発熱と痛みに耐えた。
次の日 落ち着いた頃に みんなからの応援メッセージを見て 思わず泣いてしまったそうだ。
ついでにコロナのワクチン接種1回目を済ませて退院する事になった。
約2ヶ月以上になる入院生活だった。
入院中に20歳の誕生日を迎えた。
あっという間の20年。
もうすぐ、明日にでも
治療法ができそうな気がして仕方ない。
続く…