2021秋 ⑭悔しい 筋ジストロフィーの息子と共に生きる父のブログ

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筋ジストロフィーの息子と共に生きる父のブログ 2021第14話

月曜日の夜

先週の土曜日に退院してから月曜日の夜に少し胸の違和感を訴えた。

少し元気が無い様子のふー君。

サーチュレーションも悪くなかったし、しばらくお日様に当たってなかったせいか、顔色は白い。

その日の夜は呼吸器の鼻口マスクは使用せず、鼻マスクにしたいと言う。

胸の違和感が 気になり 圧力をかけたくないからだ。

「病院行く?」

「んー大丈夫やと思うねんけどなぁ」

と微妙な感じ。

寝息を立てて寝始めたので、その日の夜はそれで過ごした。

寝ると口が開くふー君

「しゅこぉおおおおお」

と深い眠りに入った頃から、口から空気が抜ける音がする。

そうこうしてるうちに 呼吸器のアラームが鳴る。

寝てる本人の鼻マスクの位置を直すと、気づくのか 口が閉じる。

しばらくリークの数値が安定し、近くで寝てる僕はベッドに戻る。

また10分程度経つと アラーム音がする。

「しゅこぉおおおおお」

何度も何度もアラームを止めて位置を直す。

夜中の3時を過ぎた頃、限界で声をかけた。

「おい、起きろ〜」

ゆさゆさと 揺らして起こす。うっすら目を開ける ふー君。

「めちゃくちゃ漏れてるから 鼻口マスクした方がええんちゃうか」

「んー、胸の違和感が気になるねんなぁ…zzz」

「おおおい!」

サーチュレーションは悪くないし、心拍も高くないけど

もしかしたら 二酸化炭素が溜まってるのか・・・

昔から この感じのふー君。

判断がつきにくい。

今日は我慢だなと思い、鼻マスクのままにした。

10分〜15分おきにアラームが鳴る。

アラーム止める。

マスクを直す。

この作業を繰り返した。

呼吸器無しで寝るのも 考えたけど 換気ができないで 二酸化炭素が溜まるのも怖い。

そのまま朝を迎えてしまう。

火曜日

起きたふー君に

「寝た感じある?アラーム凄かったの覚えてる?」

「スッキリはしてへんけど、寝たよ。そんなアラーム鳴ってた~?」

朝、起きたふー君は 少しボーッとしてたけど 胸の違和感も少しマシになったみたい。

寝不足だったけどDaddyは仕事へ。

ママちゃんが休みで そばにいるので 様子を見ていてくれる。

特に不安な事もなく 時間が過ぎていった。

訪看さんも 様子を見に来てくれ

「気になるなら早めに受診した方がいい」

と言ってくれた。夜はママちゃんが付き添ってくれた。

鼻口マスクは 相変わらず 不安がるので、鼻マスクで就寝。

鼻マスクを装着して口に不織布のマスクをすると リークが抑えられて アラームもほぼ 鳴らなかった。

2人とも よく眠れたらしい。

水曜日

朝、 違和感は ほぼ無くなり体調は良くなっていた。

受診するか 迷うところ。

今日も訪看さんが来てくれるので、もう一度診てもらって判断する事に。

何かあれば連絡をしてと話してDaddyは仕事で家を出た。

当然無理はさせたくないので、家でのんびり。

ママちゃんと2人の時間を過ごした。

訪看さんが来てくれた。前日とは違う訪看さん。

やはり気になるなら 診てもらっておいで

と言うアドバイス。

体調は良かったけど、念の為 次の日に受診する事にした。

夜になって体調も悪くないし、サッパリしたいと言うふー君。

体力面も考えシャワーで素早く済ませることにした。

久しぶりの家での入浴。

さっぱりして ツルツルになったふー君。

「気持ち良かったわ~」

と嬉しそうだった。

そして 水曜日の夜。今日も同じ作戦。

23時過ぎにジムに出かけた時は リークもなく よく眠っていた。

帰ってきた1時頃、不織布マスクが外れて 漏れていたので 直す。

ふー君は よく寝ていた。

その日も ママちゃんにお任せして 寝ることに。

木曜日の朝

ママちゃんはグッタリ。

1時間おきにアラームが鳴り寝れなかったみたい。

休みを取っているママちゃんに受診を任せる事にしてたけど、寝不足の顔を見ると心苦しい。

少し仕事が溜まっているのもあるから、仕方ないので 仕事に行く事にした。

朝、車椅子に乗せたふー君は、寝起きでボーッとしてたけど、

「行ってらっしゃい〜」

と声をかけてくれた。少しむせていたのが 気になるけど 見送ってくれたママちゃんに

「ごめんな、よろしく頼むね」

と言って仕事にでた。

仕事を始めて しばらく経った頃。

携帯に着信。ママちゃんからだ。

「痰が絡んで訪看さんに来てもらった」

「サーチュレーションが下がってきたから救急車で病院行くから」

「わかった、仕事都合つけて追いかける」

やらなければ行けない最低限の仕事を済ませて引き継ぎをして、会社を出た。

急いで家に帰ると家の前に車椅子が放置されていた。

電動車椅子は確かに救急車には載せれないけど、これは…

余程急いでいたのか…と嫌な事を考えた。

恐らく入院になるだろうと思って、ひと通り荷物をまとめて病院へ向かう。

平日の昼間と言うことで 渋滞。

1人で色んな事を考えた。

また気胸なのか・・・

次はどうなるのか・・・

すぐ病院に行ってれば・・・

仕事なんて休めば良かった・・・

気管切開か胃瘻設置か・・・

退院して 丁寧に丁寧に介助した

何が原因なのか・・・

やっと退院できたのに・・・

悔しい・・・

あいつが何か悪い事したのか・・・

俺が悪いのか・・・

ふー君と出逢ってから

謙虚に生きてきた・・・

悪い事もしてきたけど・・・

でもそこまで悪い事したのかな・・・

それなら俺が辛い思いすればいいのに・・・

なんでふー君なんだ・・・

代わってやりたい・・・

色んな事したいだろうに・・・

悔しい・・・悔しい・・

少し泣きそうになった。

ダメだダメだ・・・

考えても仕方がない事が頭の中をグルグル回る。

くだらない

ウジウジすんなよ

誰が1番つらいんだ

ダサい自分が嫌いだ

そんな自分に負けたくない

ふー君にも負けたくない

前向きに前向きに

負けてられるか

絶対負けてたまるか

乗り切ってやる

また爆笑するぞ

気合いをいれねば!

行くぞぉ!こらー!

気持ちをリセットする。

病院到着

病院に着いて携帯を見るとママちゃんから数件のメッセージが入ってた。

・ひと通り検査済んで 結果待ち

・気胸では無かった

・肺が少し白く見えるから肺炎の診断

・細菌系の数値が高くない

・おそらくウイルス系の肺炎

・PCRの結果は陰性

・画像で見る限りコロナの可能性がある

・再度明日 PCR検査

・陰性なら一般病棟へ移る。今日はICUで過ごす

ママちゃんと合流して、1日の経緯を聞いた。

風邪の症状なんて無かったのに・・・

ソフトクリームは屋外だったし、お寿司も人が少ない時間を狙った。

感染する心当たりなんて、それしかない。

もっと早ければ入院しなくて済んだのか・・・

ICUの個室に通されて ふー君とご対面。

ベッドに横になり呼吸器を装着しながら

「とーちゃん、ごめんな」

「かまへん、あやまるな」

意識はしっかりしてて、モニター関連を見ると安定してた。

感染防止のガウンを着た看護師さんが

「退院してどこか行きました?」

「ソフトクリームを食べに牧場と 回転寿司に…」

「それぐらいですか?繁華街は?」

「それしか行ってないですね」

「じゃあ大丈夫ですね~。無症状で誰が持ってるかわかんないですからね~」

と気遣ってくれたのか、少し安心した。

僕とママちゃんは結果が出るまでは 濃厚接触者扱いになり 速やかにマイカーで帰り自宅待機となった。

家について ふー君から 家族で作っているグループにメッセージが来た。

「看護師さんや先生が窓越しに見にきてくれた」

「俺、みんなの為に自分の為に頑張って帰るわ」

「1人じゃないって思えるから、こんなにも心強い事ないわ」

「俺は幸せ者です」

「まずは とーちゃんの為に頑張れやww」

どうか 陰性でありますように・・・

たのんます。

続く・・・

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